· 

呼吸と肩の動かし方 ~羽生選手を応援しつつ~

当院へは小学生から高齢者まで幅広い年代の方に来院いただいております。

まず初めに私が見ている点として『呼吸』があります。

 

呼吸はただ酸素と二酸化炭素のガス交換という目的だけでなく、身体の使い方にも繋がっています。

・お腹を前に膨らませる人

・お腹全体を膨らませる人

・胸を膨らませる人

・お腹と胸を膨らませる人

・肩や頚に力が入る人。

また緊張するような場面など状況によっても呼吸の仕方は変わったりもします。

 

来院される方の悩みとして

・バドミントンなどのラケット競技で上手くラケットが振れない。

・痛みを伴う肩や腰の既往がある。

・慢性的な肩コリや腰痛に悩まされる。

がありますが、そのような方に共通しているのが

頚・肩・胸での呼吸お腹を前に突き出しての呼吸。

 

またスポーツ競技の動き(素振り等)をしていただくと、スウィング時に息を止めてしまい数回で疲れ、次第に肩で呼吸されることもあります。

肩や胸で呼吸してしまうと胸郭(肋骨と背骨)の部分で動きが制限され、本来の滑らかな動きができなくなり手先だけのスウィングになります。

 

身体を動かすには酸素が必要であるため、吸うことに意識が偏ることが多いのですが、実はしっかり吐けていないことが原因で吸えなくなっているパターンが多く見受けられます。

強い力を発揮する際に息を止める場合もありますが、『シュッ』と音を立てて吐くことで呼吸だけでなく動きのリズムがつかみやすくなり疲れにくくなった例もあります。

またそれにより速い動きを連続して行えるようになり、動きにキレが出てきます

 

動きだけを改善しようとするのではなく、呼吸という観点から動きを見直すことで、目的とする動きだけでなくメンタルや疲労感など多くの良い変化が得られます。

 

現在冬季オリンピックが行われ、フィギュアスケートの羽生選手も足関節捻挫からの復帰戦とあって注目されています。

私も彼を応援する一人ですが、羽生選手の試合への準備の中にも呼吸が取り入れられています。

 

フリーで流れる曲『SEIMEI』は羽生選手が自分のステップのリズムを考慮して自身で編集されているようです。

その編集の中である音が取り込まれています。

曲の始め

『パンッ』という音に続き、『ピュロ~』という笛の音で始まるのが印象的なのですが、その音の前に『スー』という息を吸う音が入っているのです。

人間は息を吐く時の方が動きがスムーズかつ速く、強い力が出せます。このリズムを間違えて息を吐ききった時に曲が始まればスムーズな動きができません。それにより焦りなどが出てきて演技全体が崩れてしまうかもしれません。

 ベストなパフォーマンスのため、吸う音を冒頭に入れ、心も身体も最高の状態で演技に入れるように準備している羽生選手だからこそ結果が付いてくるのでしょう。

 羽生選手は自身の動きだけでなく自身の息遣いを観客や審査員に聞かせることで自分の世界に引き込む狙いがあるかもしれません。

日本語には『息を合わせる』という言葉があります。私たちは彼に息をあわせるよう仕組まれているのかもしれません。

 

 これほどまで影響力のある『呼吸』。

これは特別な人にしかできないことではなく、呼吸に意識を向けることは誰にでもできることです。

当院でも動きに入る前に呼吸方法を確認し、その改善にむけてエクササイズと平行して指導させていただいております。

 

TVの前では息を飲むこともありますが、自身の生活でしっかり吐けるようにお手伝いさせていただきます。