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院外活動 ~フットワークママさん~第3弾その2 首の詰まり

フットワーク ママさんチームに水分補給・熱中症・脱水への話に加えて、身体の動きについてもお話してきました。

 

この日のノックメニューにラウンドからのショットがありました。

ラウンドからのショットはバドミントンでジャンプスマッシュやレシーブに並ぶフォトジェニックな動きでもあります。

素早く半身になり、そして全身を反らせてラケットを頭上前へスイング。着地と同時に戻る。

松井コーチから分かり易い指導が入り、右足の向きや戻るための左足の位置・ラケットワークなど短い時間の中に最低限かつ必要な情報が組み込まれていました。

 

トレーナーをしているとそれぞれの選手がなぜそれができないのか?股関節の柔軟性の低下?胸郭の可動性?肩の可動性の低下?殿筋の発揮?・・・色々考えてしまいます。

ラウンドの動きを習得するために各関節に対するストレッチやトレーニング。書籍やネットでもそれらの情報が流れてきます。病院でも指導されてご存知の方も多いです。私もそれを行っていました。

 

しかしそれだけでは上手く行かないことも経験しています。

なぜならそれらが連動する動きを脳が知らない。やったことがないから。

 

そこで水分補給の話を終えて、どうすれば楽にラウンドの動きができるのかをお話しました。

病院で行われているものと同じことをしても面白くないので変化を楽しみながら行っていただきます。

 

その1 『首の詰まりを解放する』

 

ラウンドの動きに必要な肩の可動性やしなりを作るための胸郭の可動性や腹部の安定を作るには首が座ってないとできないという切り口から始めました。厳密には首の座りとは違いますが・・・。

 

赤ちゃんが生まれて産声として呼吸(腹腔内圧)トレーニングが始まります。その数ヶ月から首が座りだします。

実は最近首が座ってない人が増えていますという流れから。

 

手を挙げて肩の詰まり感や挙がる角度を覚えてください。

 

TEST

・両足を付けて立ち、顔の面が水平になるまで頭を後に倒せますか?

 

ペアを作っていただき、横から確認し合っていただきました。NGとなる動作もあるのでそれをお伝えしました。

持っていたラケットでどれくらい倒れたかが伝えられます。

『たったそれだけ?』という驚きと笑い声。

 

TEST

・足を付けて立ち、どれだけ身体が反れますか?どこまで見えたか覚えておいてください。

 

ここからポイントをお伝えします。

壁を背にしているイメージでお尻・背中・後頭部を後ろに付けてください。

みなさん自然と真っ直ぐな立ち姿となり

頭が後ろにスライドします。

 

・そのまま先ほど行ったように頭を後ろに倒してください。先ほどと変わりましたか?

『あっ!』

という声。私から見ても綺麗に水平になっています。

 

・では頭の位置をそのままにして身体を反らせてください。景色かわりましたか?

『おっ!』

という声。

 

・手を挙げてみてください。

スイスイ挙げられます。

 

力む必要なく、軽く頭を後ろにスライドすることでお腹の圧が高まり胸郭や肩の動きが楽になるんです。

日頃から顎を前に突き出しているとお腹の圧も弱くなり、肩で呼吸しだします。いつしかそれが当たり前となります。

日常から首の後ろが詰まったままなので、より首を反らすことを続けると首の骨や椎間板が潰されます。健康のためにもバドミントンのためにも頭を後ろに引けることが大事なんです。

 

この頭を後ろにスライドするトレーニング

『チンイン』

私もエクササイズの序盤でストレッチポール上や床で行っています。壁でもできますが、筋肉を大きくさせるためのものではなく、使えるようにするアップのようなものです。

横文字なので外国から入ってきたメニューなんでしょうね。

これを訳すと『顎を入れる』。

 

これをそのまま伝えると必ず顎を引きすぎます。力むくらい。日本人は頑張りすぎなんです。頑張った分見返りがあると思われている為か簡単な動作ほど力まれることがあります。

 

実はこのチンインは日本にも昔からあるんです。

 

宮本武蔵著『五輪書』水の巻

【訳文】

兵法における身体の姿態のこと。

『・・・首は、後ろの筋を真っ直ぐにして、項(うなじ)に力を入れ、肩から下は、全身が同じように感じられるようにし、両肩を下げ、背筋を真っ直ぐに、尻を出さず・・・』

 

『弓道教本』

弓道の基本となる射法八節の中の【胴造り】

胴造りとは足の位置を定めた後の弓も構えていない段階

『上体を正しく安静におき、腰を据え、左右の肩を沈め、脊柱および項(うなじ)を真っ直ぐに伸ばし、総体の重心を腰の中央におき、心気を丹田におさめる動作である。』

 

日本はアゴではなく、項(うなじ)をポイントにしています。

実際に指導の時もこのチンインという言葉を使わず『項(うなじ)を伸ばしてください』とお伝えすると上手く行きます。

 

同じことを伝えたいのでしょうが、横文字文化と日本文化の違い。ポイントを前側から後側に換えることでこれだけ違いがあるのか!と驚かされました。

 

本題に戻ります。

 

その2 『全身を連動させる』

ラウンドの動きを柔軟性や可動性・筋力の発揮を各関節単位で行うことから全身に繋げるエクササイズも必要だと思い、活動させていただいている土佐女子バドミントン部ではウォーミングアップに

【クラブリーチ】というエクササイズを入れています。

 

それをママさんチームにも紹介させていただきました。

ストレッチのイメージから1回で伸ばそうとしてしまいます。しかしこれは動きのトレーニングなので止まらず繰り返してみてくださいという内容で終えました。

後に個々の質問で、クラブリーチをすると肩が・・・という相談がありました。

ここでも項を伸ばすことが必要となります。自ずと胸郭が広がり肩が骨盤の方に下がります。肩甲骨も動かしやすくなり、その詰まりはなくなります。

 

トレーニングの時間・ストレッチの時間だけ意識するよりも、普段運転している時に項を伸ばしてみる。歩く時も項を伸ばしてみる。それによりトレーニングでもストレッチでも効果が得られます。

 

メニューから習慣へ。そしてその人の姿態に。

特別な情報が蔓延しつつある現代社会ですが、350年前の人が気付いたことや『道』の世界が重要視していることを見直すことで流行りに流されず、健康になれるのではないか?と思う今日この頃です。

 

しかし私も『チンイン』を知らなかったら項(うなじ)にも気付かなかったでしょう。

まだまだです。

 

項(うなじ)を伸ばしてみてください。

人生が変わります。